発達障害の子供の中には、触覚過敏を持っている子が多いです。
感覚というのは、言葉で表せるものではなく、みんな自分の感覚が普通だと思っているので、感覚過敏の子への理解が中々しづらく、いちいち大げさだと思われたりして誤解されやすいです。
また、感覚過敏を持っている子供自身も、自分の感覚が普通だと思っているので、みんながなぜ平気なのか分かりません。
そして、感覚過敏、触覚過敏のせいで、生きづらく感じることもあります。
触覚過敏をできるだけ治してあげたいですよね。
今回は、触覚過敏についてと治し方について紹介したいと思います。
目次
1 触覚過敏とは
触覚過敏というのは、肌に触れることに敏感さを持っている状態です。
具体的には、
- 自分から触れるのは大丈夫だが、人から触れられるのをイヤがる
- 超が付くほどのくすぐったがりや
- 歯磨きや爪切りを嫌がる
- 洋服のタグが苦手
- 着心地や手触りにこだわる
- ゴムなど締め付けるものが苦手
- 人が近づくと逃げたり目線をそらす
- ベタベタしたもの、ヌルヌルしたものが苦手
のような状態が見られます。
2 触覚過敏の2つの役割
なぜ、触覚過敏になるのでしょうか?
実は触覚には2つの役割があります。
1つは、原始的な本能的な役割。
触覚というのは、生き物がずっと昔から持っている危険から命を守るために使う感覚です。
生き物の歴史の中で、触れられるというのは、危険と隣り合わせでした。
「触れられる=食べられる」
なので、本能的に触れられることに恐怖を覚えます。
原始的な触覚を使い
- 危険から身を守る・逃げる
- 攻撃する
- エサや安全と感じるものを取り込む
といったことをやり、身を守ります。
この3つは、「触覚防衛機能」と言います。
しかし、人間は進化の過程で「識別系」と呼ばれるもう1つの役割の触覚の機能を持つようになります。
触覚の「識別系」というのは、見なくてもカバンの中からモノを触れて当てたり、体を触れられてどこに触れられているのか分かる機能です。
触覚には2つの「原始系」「識別系」という役割・機能がありますが、人間の現在の一般的な生活では、食うか食われるかの生命の危険にさらされるような生活ではありません。
だから、「識別系」が「原始系」をうまく抑えながら生活しています。
「識別系」が働くことによって「原始系」の働きを抑えることができるのです。
3 触覚の2つの役割が上手く機能しないと・・・
しかし、「原始系」ばかり働くとどうなるでしょうか?
はるか昔の時代ならば、敵から生命の危険を守るために役立った「原始系」。
触覚が過敏であればあるほど、身を守るのに役立ったことでしょう。
しかし、それが今働くと、一般社会では適しません。
適応しにくくなります。
特に対人関係、母子関係で困ります。
触れられるのを嫌がり、スキンシップを取ることができません。
愛着関係も持ちにくくなります。
また、防衛機能が働くため、集団が苦手になり、参加できなかったり、攻撃的になったり、自分が安心できるものを取り込む(指しゃぶりや爪かみなど)をするようになります。
発達障害の子供は、本来なら統合で来ているはずの「原始系」の触覚が統合されておらず、残っていることが多いです。
そのために、「識別系」が育たず、そのせいで、「原始系」を抑えられないでいる・・・という状態になっているのです。
原始的な本能が働きすぎている状態なのです。
原始的な生きるか死ぬか、逃げるか攻撃するか、という状態は、とても生きづらいです。
4 触覚過敏を治すには
発達障害の子供の触覚過敏を治すには、「緩めること」と「識別系」を育てることです。
緊張状態にあると、過敏の症状は強く出やすいです。
発達障害の子供は、体が緊張していてリラックスできていない子が多いです。
緩めてあげると、触覚過敏の症状が緩和します。
「緩める」方法は、「ゆらゆら運動」がおすすめです。
「ゆらゆら運動」のやり方は、
- 1 子供が寝ころぶ
- 2 親が子供の足の方へ座る
- 3 両手で両足首を持って、左右に細かくゆらゆら揺らす
- 4 頭までゆらゆらの動きが伝わればオッケー
この「ゆらゆら運動」は、気持ちいいです。
やっている親も心地よく感じると、子供もリラックスできますよ。
「意識して触覚を使う」のは、日常の遊びで触覚を使う遊びができるのが一番です。
特におすすめなのは、
- 1 マッサージ
- 2 タッチング
- 3 背中に文字や数字書き
- 4 当てっこクイズ(自発的)
- 5 当てっこクイズ(受け身的)
です。
1 マッサージ
マッサージは、手のひらで全身を触れます。
できれば、やさしくなでるのではなく、少し強めの圧をかける方が良いです。
触覚過敏の発達障害の子供は、優しく触れるとくすぐったがったりして、イヤがることもあります。
少し強めの方が好む場合が多いからです。
子供の反応を見たり聞いたりしながら、調節してみて下さいね。
2 タッチング
タッチングは、手の平やスポンジ、ブラシを使って、パタパタ体全体をたたいてあげます。
タッチングもマッサージと同じように、少し強めを好む子が多いです。
3 背中に文字や数字書き
背中に文字は、ひらがなやカタカナ、数字を書き、何とか書いたのか当てるクイズ遊びをします。
集中しなければ分からないので、触覚を意識することができます。
4 当てっこクイズ(自発的)
袋におもちゃややぬいぐるみを入れ、見ずに中身は何かを当てる遊びです。
最初にいくつかのおもちゃを用意し、この中からどれか1つ入ると伝えます。
そうすると、そのおもちゃをよく見て観察し、記憶し、それを元に中身は何かを探っていきます。
5 当てっこクイズ(受け身的)
触れた物が何かを当てるクイズです。
最初にいくつかの素材のおもちゃを用意し、この中からどれか1つ触れると伝えます。
目隠しをし、おもちゃを腕に当てます。
どのおもちゃだったのかを当てます。
これらの「意識して触覚を使う遊び」は、子供だけにするのではなく、交代でやり合うと、面白しろがって楽しくできるのでおすすめです。
最後に
発達障害の子供に多い、触覚過敏。
感覚の中でも触覚は、特に原始的な感覚で対人関係や社会性に影響を与えます。
困り感の多い触覚過敏ですが、育てることができます。
いろんな発達の抜けがあるために、生きづらい発達障害の子供ですが、その抜けは育てることで良くなることが多いです。
気づいた今がスタートです。
ぜひ、実践してみて下さいね。
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