発達障害の子供の中には、一見まわりに溶け込み、たいていのことはそこそここなす子がいます。
表面的には、問題がないように見えます。
でも、それは過剰適応しているせいかもしれません。
過剰適応は、周りには分かりませんが、実は本人は苦しく心身を病みやすい状態です。
我が子も過剰適応して乗り切るタイプの発達障害の子供です。
我が家で取り組んでいる過剰適応を治すためにしていることを紹介したいと思います。
目次
1 発達障害の子供の過剰適応とは
過剰適応というのは、周りに同調して自己主張できずに、自分の思いや要求を押さえつけることを言います。
イヤと言えなかったり、断ることができなかったり、何でも「ハイ」と言って、やってしまいます。
基準が「周り」や「相手」になります。
そのため、言動に一貫性がなく、周りから何を考えているのかよく分からないと思われやすいです。
自分の感情が分からず、周りに流されやすいです。
ある意味「いい子」を演じているような状態です。
周りから見れば、一見発達障害に見えないように思えます。
学校にも適応しているように思えます。
でも、実は自分の感情や思いを無視して、むりやり頑張っている状態です。
この過剰適応の状態が続くと、どんどんストレスがたまります。
そうして、よくあるのが
- 気が付けば心身共に疲れ切って突然ポキッと折れたみたいに気力がなくなり不登校
- 学校では問題がなくても、家での癇癪がひどくなる
- 心が把握できず外に出せないので、体に不調が出る
ということがおこります。
2 なぜ発達障害の子供が過剰適応するのか
過剰適応する発達障害の子供は、2パターンあります。
- 発達障害の子供が受動型タイプのため。
- 知的に高い子の叱られた経験から。
1つ目の発達障害の子供の受動型タイプ。
発達障害の受動型の子供は、自分のことがよく分かりません。
また、自分の感情がよく分かりません。
我が子と主人が受動型のタイプなのですが、観察して思うのは、感情や思考が上手くつながっていないので、自分自身が把握しにくいようです。
自分の感情や思考に脳がアクセスするのにエネルギーがいるようです。
そのため、行動の基準が自分自身ではなく、周りが基準になってしまいます。
そして、成長するにつれ、周りに合わせるとなんとかなると学習するようです。
自己主張するための「自分」自身がうまく把握できていないため、他者といる時は、自分が出にくいようです。
ただ、発達障害の子特有のマイワールドは持っているので、本当は頑固というか自分の思いというのは強くあります。
そのため、自分では分からないうちにストレスがどんどん溜まっていきます。
家で癇癪を起したり、中には頑張りすぎて糸が切れたような状態になって、学校に行けなくなる子もいます。
また、発達障害の受動型のタイプの子は、自分自身の感情や思いを把握しにくい分、外に感情を出しにくいため、体に不調が現れることが多いです。
2つ目の、知的に高い発達障害の子供が叱られ続けた経験によって。
最初は積極奇異のタイプの発達障害の子供も、小学校に入ると叱られる場面が多くなりやすいです。
周りの子が成長する分、幼さもどんどん目立ってきます。
叱られる機会が多くなると、どんどん自信がなくなってきます。
自分のやったことが間違っていると判断されることが多いと、積極性がなくなっていきます。
自分を出すのが怖くなってきます。
知的に高い発達障害の子供の場合、周りを観察することができます。
その結果、周りと同じことをしていた方が叱られない、この方が上手くいくようだと思い、どんどん周りに合わせていきます。
発達障害の子供は、真面目な子が多いため、どんどん過剰適応していくようになります。
3 発達障害の子供の過剰適応を治すために取り組んでいること
1 交換日記をする
我が家の発達障害の子供は受動型タイプです。
自分のことが分かりにくいです。
自分のことが分からなければ、言動の基準を自分に合わすことができません。
まずは、自分自身の把握が大切だと考えました。
そのためには、日記は最適です。
日記を書くためには、自分に目を向けて向き合わなばいけません。
ただ、日記の場合、ハードルは高いです。
宿題でもないのに、苦手な日記を書けと言っても、難しいです。
だから、「交換日記」にしました。
ママとの交換日記です。
今は可愛い交換日記用のノートも売っています。
1人で書く日記は苦痛でも、交換日記だと楽しくできます。
交換日記用のノートには、「しつもんコーナー」や「ひみつのはなし」「すきなことベスト3」などを書く項目もあり、楽しく自分のことを見つめて表出することができます。
親である私自身も、子供の書いている内容に、こんな風に思っているのだと知れたり、成長も見ることができて楽しいです。
2 トーキングゲームをする
自分のことが分からないために、周りに合わせる過剰適応することで乗り切ろうとする発達障害の子供。
そんな発達障害の子供が自分のことに向き合って理解するために、取り組んでいるのは、家族で「トーキングゲーム」です。
この「トーキングゲーム」というものは、中にカードが入っており、カードを引いて、そこに書かれている質問に答えるというゲームです。
家族で順番にカードを引いて答えて遊んでいます。
我が家では、これに加えて、1人1回そのカードを引いた人に質問をするというルールも入れています。
カードに書かれている質問は、面白いものも多いです。
例えば、
「1日だけ魔法使いになれるとしたら、何をする?」
「今いちばんほしいものは?」
パスカードもあり、答えたくなければパスもできます。
自分の理解と自分の表出ができるようになっています。
自分を把握することも、ゲームで遊びでやると楽しくできてとても良い感じです。
3 アサーションを伝える
自分を大切にして主張するのは大切ですが、相手のことを考えない主張は受け入れられず、生きづらさにつながります。
発達障害の子供は、「0・100思考」になりやすいです。
そのため、過剰適応が反転してしまうと、「自分が大事」が100になってしまい、周りや相手の事が0になってしまいやすいです。
そのため、我が家では「アサーション」の大切さを伝えています。
「アサーション」というのは、自分と相手を大切にする自己主張のことです。
自己主張には、3つのタイプがあります。
- 攻撃的タイプ
- 非主張的タイプ
- アサーティブ
1「攻撃的タイプ」というのは、主張が強く、自分のことしか考えていません。
分かりやすく言うと、ドラえもんのジャイアンです。
2「非主張的タイプ」というのは、自己主張をしない、相手基準です。
分かりやすく言うと、ドラえもんののび太です。
過剰適応の子がこのタイプになりますね。
3「アサーティブ」というのは、相手のことも自分のことも大切にします。
自分の気持ちを率直に、でも、相手のことも考えて、その場に合った表現方法で主張します。
分かりやすく言うと、ドラえもんのしずかちゃんです。
自己主張の仕方が3パターンあることを説明し、アサーティブな自己主張、「自分も相手も大切にする」ことが大事だと伝えています。
正直、まだアサーションができる段階ではありません。
ただ、人間関係においてとても大切なことなので、伝えています。
4 「インサイドヘッド」で感情を学ぶ
我が家の発達障害の子供は、感情があまりよく分からないのに加え、ネガティブな感情が苦手です。
否定して、「なかったこと」にします。
意識で否定してもなくなるものではありませんし、逆に感情を否定することで自分のことが余計に分からなくなってしまいます。
自分の気持ち、感情を知ることは過剰適応を治すために大切です。
そのために、感情の勉強とネガティブな感情を無視すると大変なことになるということを学ぶために、「インサイドヘッド」という映画のDVDを見ています。
インサイド・ヘッド MovieNEX [ エイミー・ポーラー ]
この「インサイドヘッド」という映画は、ライリーという11歳の女の子が主人公です。
引っ越しをきっかけに、5つの感情「ヨロコビ」「カナシミ」「イカリ」「ムカムカ」「ビビリ」のバランスが崩れます。
それまでは「ヨロコビ」が感情を支配し、その他の感情、特に「カナシミ」をいらないもの扱いしていました。
でも、さまざまな出来事を通して、ネガティブな感情である「カナシミ」も大切だと学び、成長する物語です。
この物語には、発達障害の我が子が苦手なモノ、理解できない、したくないモノが上手に表現されています。
時々、一緒に見ています。
まだまだ、しっくり来ていないようですが、小学生の内には理解できるようになるだろうと思っています。
感情を学び、ネガティブな感情も大切だということを学ぶのに最適な映画だと思います。
最後に
我が家では、この4つの取り組みを中心に、できるだけ自己主張をする機会を持てるように、プレイセラピーに通ったり、マンツーマンや少人数の放課後等デイサービスで実践しています。
すぐには変わりませんが、確実に成長していっています。
二次障害の元にもなる過剰適応、なるべく早い段階で治してあげたいですね。
もし、発達障害の子供の過剰適応に悩んでいるのなら、参考にしてみてくださいね。
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